メニュー
この検査は、造影剤を子宮から卵管に注入することにより、子宮のかたち、卵管の通過状態、および卵管周囲や骨盤内の癒着の状態を評価し、治療方針の決定に役立てるために行います。診察室にて子宮の中へ細い管(カテーテル)を挿入して、レントゲン室へ歩行移動し、造影剤を注入しながらレントゲン撮影 (注入しながら2~4回、管を抜いて15分程度座ったり歩行した後さらに1回)をします。検査結果は当日説明となります。
月経終了直後が望ましいです(排卵前に行わなければなりません)。月経周期が不順な方・長い方はご相談ください。
無色透明で、レントゲン写真で撮ると白く写ります。これを利用して、通常あまりよく写らないものを白く写し出すことができます。胃の検診で使われるバリウムもそのひとつです。卵管造影検査では約10mlを管から注入します。
カテーテル挿入の時点で痛みを感じる方がいらっしゃるようです。当クリニックでは、あらかじめ検査予約時間の30分前に鎮痛剤(座薬もしくは内服薬)をご使用いただき、また子宮の緊張を和らげる薬(ブスコパン錠1錠)を内服していただいております。この事前の処置により痛みは相当軽くすみます。また造影剤もあらかじめ温めており刺激が少ないように工夫しております。なお予備として鎮痛剤(座薬もしくは内服薬)をさらに1個、計2個処方させていただいております。ご希望により子宮への局所麻酔(傍子宮頚管麻酔)(税別5,000円)も行うことができます。
過去に造影剤でアレルギー反応を起こしたことのある方、特殊な薬(例えば、糖尿病薬メトグルコを内服されている方の場合→検査2日前から検査2日後までの合計5日間内服を中止します)内服中の方、甲状腺機能亢進症の方(内科主治医より許可されている場合を除く)、クラミジア感染症未治療の方(感染がないことを検査にて確認してからの検査実施となります。また、未治療の方は抗生剤内服による除菌を行ってからの実施(内服後2週間以上経過してから)となります)腎機能の悪い方は検査に注意が必要で、場合によっては検査ができません。また当然妊娠している可能性のある方、生理の出血が終了していない方はできません。バリウム使用による胃腸造影検査後は、少なくとも1週間は本検査はできません。他院での油性造影剤を使用した子宮卵管造影検査後半年間は本検査はできません。
油性造影剤は、コストは安いのですが、安全性の点から推奨していません。当院と同様の理由で油性造影剤を用いない不妊症診療施設が近年多くなっています。
それぞれの利点及び欠点、費用は以下の表の通りです。
利点 | 欠点 | 費用 | |
---|---|---|---|
イソビスト (水溶性造影剤) |
痛みが少なく、安全性が高い。 | 特になし。 (古くは、油性造影剤に比べて検査後の自然妊娠発生率が低いと言われていたが、2007年コクランレビューによると、有意差なしと判明しています。) |
(保険)約5,000円 2本*の場合約7,300円 +(自費)ヒスキャス・超音波・尿検査代 3,240円 +(自費)抗生剤点滴**1,500円 |
リピオドール (油性造影剤) |
より安価である。 | 血管・リンパ管内に入る(2-7%)と20%で油塞栓を起こし、種々の合併症(胸痛、咳嗽、呼吸困難、頭痛、昏睡、死亡など)を起こす。 1年以上の長期にわたって残留し、異物肉芽腫や感染の原因となったり、本人や将来の胎児の甲状腺機能に影響をもたらす可能性がある。痛みが強い。 造影翌日の腹部X線検査が必要。 |
(保険)約3,000円 +(自費)ヒスキャス・超音波・尿検査代 3,240円 +(自費)抗生剤点滴**1,500円 |
*子宮の状態により造影剤の量が倍量必要となる事があります。
**感染リスクが高いと判断される場合、処方している内服薬に加え、抗生剤の点滴を行うことがあります。
検査後に(帰宅されてから)、かゆみを伴う発疹が全身にあらわれることがあります。使用した薬剤による薬疹(やくしん)である可能性があります。
→高熱を伴う、あるいは呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、救急車を要請して、病院にかかってください。
→発疹のみの場合、内服中の薬剤をすべて中止し、早めに外来受診してください。抗アレルギー薬を処方いたします。
また、入浴や熱いシャワー浴、運動など発汗を伴う行動はとらないようにしてください。
→今回使用したどのお薬が薬疹の原因かを調査することができます(DLST:薬剤によるリンパ球刺激試験(血液検査))。
約1か月後に採血します(午前中、日祝日の前日を除く)。