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WHO(世界保健機関)の調査では男性側に不妊原因があるのは48%という結果が得られています。過去に奥様や別の女性との間に妊娠歴がある男性でも、かなりの頻度で精液検査をすると問題がみつかります。ですので不妊の問題は女性側の問題だと決めつけず、できるだけ早い段階で精液検査を受けることをおすすめします。不妊症はご夫婦単位の問題と考えております。妊娠を期待する女性にとって、月経がはじまってしまうこと、治療したにもかかわらず医師から妊娠していないと告げられることは大いなる失望とともに喪失感を味わうことになります。
ご主人による精神的サポートが重要となります。治療を奥様任せにはしないで、一緒に来院できなくとも、当日の奥様のご様子をさりげなく気遣い、たずねてください。このようなご主人のサポート力の違いが、お二人が不妊治療を乗り切る推進力の差を生んでいるようです。どうかご主人の力を貸してください。
まずは妊娠するということ(ここでは生殖と呼びます)はどういうことなのか、ご自分達の置かれている状況はどうなのか、不妊治療とはどういうものなのか、正しい理解をすることから始めましょう。妊娠しないのには理由があります。理由がみつからないこともありますが、一緒に探っていきましょう。不妊治療においては、プロセスにこだわるか、結果にこだわるかの選択は大事なことです。あえて言わせていただければ、もしお二人に時間的に猶予がない(年齢、卵巣予備能AMH値など)状況であるのならば、結果にこだわることを推奨しています。もし時間的にも精神的にも猶予がある場合には、タイミング法、人工授精法、体外受精法(ART)とステップアップするプロセスを大切にしてもよいでしょう。ただしどの治療法まで、何回まで、いつまで望まれるかはご夫婦の価値観が最優先されるべきと考えます。後悔しない判断をするためにも、各治療法やご自分たちの状況を正しく理解されることを再度強調させていただきたいと思います。
卵胞の発育、排卵、受精、黄体機能、月経、流産、出産など一連の生殖関連の現象は、長い進化の過程で、女性に備わったものであり、ご自身の努力でどうにかできるものではなく、(太りすぎや反対にやせすぎの場合には体重のコントロールが功を奏することが期待できますが)うまくいかないからといって努力が足りないとご自身を責めるのはよくありません。卵子の質がもっとも妊娠には大切ですが、ARTをもってしても改善は難しいです。最後に、不妊治療の勉強や思案のしすぎには注意しましょう。脳内に負のエネルギーが蓄積されてしまいます。別の楽しいことに時間を振り分けてください。たくさんの勉強や考えることは我々医療者にお任せください。