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反復着床障害対策

反復着床障害対策

Endometrial Receptivity Analysis(子宮内膜着床能検査)

ERA検査の目的

原因不明の反復性着床障害(良質な受精卵を複数回移植しても妊娠に至らない場合)の原因として子宮内膜の【着床ウィンドウ】が一致していないという報告が2014年にスペインのIVI Valenciaという施設から発信されました。【着床ウィンドウ】つまり子宮内膜に受精卵が着床できる時間や時期は個人差があり、適切な時期に移植することにより妊娠が可能になるのではないかというものです。当院ではERA検査をすることにより各患者様における【着床ウィンドウ】の結果から移植の時期を判断し、妊娠・出産をしていただくため実施しております。

1. ERA検査の背景

これまでは【着床ウィンドウ】を知る手段として子宮内膜日付診(組織学的基準に基づく方法)というものが一般的でした。しかしこの検査では正確に判断し移植時期を決定できるものではありませんでした。ERA検査は患者様の子宮内膜組織より抽出したRNA産物をNGS(次世代シーケンサー)を用い、約250個の発現遺伝子を解析することにより【着床ウィンドウ】を明らかにすることが可能になりました。ERA検査を受けられた方の30%近くが【着床ウィンドウ】の時期がずれていたという結果が分かってきております。

2. ERA検査の方法

例といたしまして、ホルモン補充周期の場合は黄体ホルモン(P)投与開始から5日後(約120時間後)に子宮内膜を採取します。自然周期の場合はhCG投与後もしくはLHサージ開始から約7日後(約168時間後)に子宮内膜を採取します。この検査周期では移植は行いません。なお、こちらはあくまでも推奨例であり、患者様と当院医師による最適な周期において着床の窓の時期辺りの子宮内膜採取を行っております。また子宮内膜を採取するため出血、痛み等を伴う場合もございます。事前に医師、看護師より十分な説明を受けてからの検査をお勧めいたします。

3. ERA検査の結果

子宮内膜を採取した時期の結果がReceptiveの場合、【着床ウィンドウ】には問題がなく良質な受精卵をこの時期に同じ条件にて移植していくことにより妊娠が期待できます。Non‐Receptiveとの結果が出た場合は、再検査が必要となります。この場合、検査結果には次回検査時の子宮内膜採取のタイミングの指示が記載されています。再検査の結果を確認することで患者様個人の最適な移植時期を特定できますので、次回以降の同条件の周期にて良質な受精卵を移植します。
再検査によって最適な移植時期を特定した「個別化された胚移植」を実施した結果、妊娠率が24%向上しています。

EMMA(子宮内マイクロバイオーム)検査

EMMA(子宮内マイクロバイオーム)検査は、子宮内全体の細菌の状態に関する 情報を提供し、子宮内の細菌環境が胚移植に最適な状態であるかどうかを判定します。

子宮内乳酸菌が多い群 90%以上 子宮内乳酸菌が少ない群 90%未満
妊娠率 70.6% 33.3%
継続妊娠率 58.8% 13.3%
生児獲得率 58.8% 6.7%

検査結果

子宮内膜検体におけるラクトバチルス属の割合 ・子宮内膜の細菌が正常(ラクトバチルス属の比率が高い)か、 異常(ラクトバチルス属の比率が低く、菌のバランスが悪い、または病原菌が存在する)か。 ・特に多く検出された細菌(10種類程度)の割合を調べます。

ALICE(感染性慢性子宮内膜炎)検査

ALICE(感染性慢性子宮内膜炎)検査は、従来の方法では特定することが難しかった 慢性子宮内膜炎(CE)の病原菌を検出する検査です。適した抗菌薬を推奨する世界初の検査です。
慢性子宮内膜炎は、不妊症女性の約30%が罹患しているといわれ、反復着床不全 (RIF)および不育症(RPL)患者の有病率は60%に達するといわれています。

該当する細菌

  • 腸内細菌科 (大腸菌や肺炎桿菌など)
  • ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌
  • スタフィロコッカス(Staphylococcus)属菌
  • エンテロコッカス(Enterococcus)属菌
  • マイコプラズマ(Mycoplasma)属菌
  • ウレアプラズマ(Ureaplasma)属菌
  • クラミジア(Chlamydia)属菌
  • ナイセリア(Neisseria)属菌

料金表(税込み)

なお検査料金に関しては予告なく変更することがありますのでご了承ください。
当院でART治療を行っている方

ERAのみ 初回143,000円
2回目110,000円
EMMAのみ 49,500円
ALICEのみ 44,000円
EMMA+ALICE 77,000円
ERA+EMMA+ALICE 220,000円

ご希望の患者様及び検査詳細につきましてはスタッフまでどうぞご遠慮なくお問い合わせください

PRP(Plate Rich Plasma : 多血小板血漿)療法について

多血小板血漿(Plate Rich Plasma:PRP)療法とは、御自身の血液から抽出した高濃度の血小板を医療に用いる再生医療の一つです。整形外科(大谷選手の右肘治療にも用いられたのは有名です)領域の他、美容皮膚科で盛んにおこなわれるようになっていています。今回ご紹介するのは、着床能を改善する目的で子宮腔内に注入する方法です。血小板に含まれる成長因子(PDGF、TGF-β、VEGF、EGF等)は、子宮内膜環境の改善を促すことが明らかにされています。PRP治療により子宮内膜における細胞増殖、血管新生を促す効果 により子宮内膜が活性化され、受精卵が着床しやすくなると考えられています。不妊領域での治療の歴史はまだ浅いですが、国内外において子宮内膜が厚くならない方や反復着床不全の方に対する臨床応用が盛んに行われるようになってきており、好成績の報告も散見されるようになってきました。

安全性について

本治療法は法律に基づき、再生医療等提出計画の届出後、厚生労働大臣に受理された治療となります。当院も認可施設です。自分自身の血液を用いた治療法ですので、アレルギー反応の心配がほとんどありません。これまでに国内外での使用において、重篤な有害事象は報告されていません。(2019.12月時点)

対象

ホルモン調整周期での凍結融解胚移植(新鮮胚移植周期は不可)
ART反復不成功者、移植周期に内膜が薄いと判断された方が主な対象者となります。
PRP周期ではホルモン調整周期での移植を推奨しています。ただし自然周期(レトロゾール周期含む)でERA検査をおこない、移植日のずれが指摘されておられる方はこの限りではありません。

※自然周期での移植で排卵に至らなかった場合、PRPの返金はできませんのでご注意下さい。
※ERA(Endometrial Receptivity Analysis)検査で移植日時が指定された場合は、移植予定日時を考慮して治療を行います。
※現在他院で治療を行っている方もPRP療法をお受けできますが、通院施設の担当医にご意見を伺った上で受診して下さい。

治療の流れ

治療は1周期、原則2回の投与です。(1回でもある程度の効果が期待できます)

  1. 患者様の前腕から静脈血を20ml採取し、遠心分離機で血漿部分を抽出します。
  2. 採取した血液を遠心分離機にかける。
  3. 調整終了。
  4. 調製したPRP(約1ml)を患者様の子宮腔内に移植カテーテルを用いて注入。抗生剤処方。
  5. 30分ほど安静にする。(院内の椅子にかけ30分安静、その後帰宅となります。)

※採取したPRPが固まるなど分離後の性状が注入に不適切と判断された場合は、再度採血または投与中止となる事があります。採血から注入までの所要時間は約60分です。(再度採血の場合は120分)治療後24時間以内は激しい運動は控えて下さい。入浴は可能です。万一発熱や普段と異なった症状がみられた場合は、担当医に御相談下さい。

PRP療法 治療の流れ

※テープを月経1、2日目より貼付を開始(3枚/回で48時間毎に貼り替え)、月経11-13日目に来院して頂きます。同日の採血値に問題ないことを確認後、初回の治療を行います。

初期胚のみを凍結し移植予定の方:黄体ホルモン腟錠開始前にPRP投与(初回のみ)
胚盤胞を凍結されている方  :黄体ホルモン腟錠開始前に初回、数日後に2回目を投与

費用

自費 同時処方されるお薬(ホルモン剤、抗生剤など)、検査代は別途加算されます。
初回投与:88,000円  2回目投与:88,000円

1周期の治療では2回投与が原則となります。しかしながら御都合が悪い場合や初期凍結胚移植の場合には1回のみとなりますが、ある程度の効果は期待できると報告されています。

※PRP投与後に内膜が薄い、感染症発症、出血などの事情でその治療が中断となった場合でも返金はできません。自然周期での移植で排卵に至らなかった場合も、返金はできませんのであらかじめご注意下さい。

診療情報の報告について

当院は厚生省「再生医療等委員会」の登録施設です。そのため、毎年の治療経過の報告義務があります。また、治療法の有効性の検証、並びに医学の発展のため、各種学会や研究会、論文などの形式で個人情報は伏せて発表することがあります。個人が特定されないよう徹底しておりますので何卒御理解と御協力をお願い申し上げます。

下記に該当する方は担当医に御相談下さい

  • 血小板数が150,000/mm3 以下
  • フィブリノーゲン値(Fbn)が200mg/dl以下
  • Hbが11.0g/dl 以下(貧血)
  • 血小板機能異常症
  • 血行動態が不安定な方
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬(ロキソニンやボルタレンなど。バイアスピリンは除く)
  • 抗凝固薬(ヘパリン)で治療中
  • 悪性腫瘍やその可能性のある方
  • 感染症(B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒)検査で抗原が陽性

不妊治療について