OVARIAN STIMULATION卵巣刺激(採卵)
OVARIAN STIMULATION卵巣刺激(採卵)
卵巣刺激について
ロング法、ショート法、アンタゴニスト法、クロミフェン法、レトロゾール法、自然周期法、PPOS法などを患者様の情報から選択して提示しております。前周期に経口避妊薬(ピル)を使うこともあります。患者様によって、また周期によっても最適な刺激法があるはず(テーラーメイド)であると考え、選択してまいります。また今後の研究報告や実績などにより、この選択法を修正改良してまいります。
ロング法
採卵を行う前周期の基礎体温高温相の中間あたりより(予定月経の約1週間前)GnRHアゴニスト点鼻薬を開始します(1日4回、約6時間ごとに左右いずれかの鼻腔に1噴霧)。GnRHアゴニスト点鼻薬は採卵決定時の最終刺激前まで継続します。前周期に経口避妊薬(ピル)を使用する場合もあります。月経開始後3~6日目に来院していただき、ホルモン採血・超音波検査を行い、卵巣刺激の注射(hMG製剤、FSH製剤)の開始日を決めます。採卵決定まで連日注射し(卵巣の反応性によっても異なりますが、通常7~12日間)、数日間の注射の後にホルモン採血・超音波検査により卵巣の状態を観察します。卵胞成熟のため、採卵の36時間前に最終刺激としてhCG注射を行います。
ショート法
月経開始直前、または月経開始1日目に来院していただき、ホルモン採血・超音波検査を行います。月経が開始してすぐにGnRHアゴニスト点鼻薬を開始します(1日3回、約8時間ごとに左右両方の鼻腔に1噴霧)。GnRHアゴニスト点鼻薬は採卵決定時の最終刺激前まで継続します。前周期に経口避妊薬(ピル)を使用する場合もあります。GnRHアゴニスト点鼻薬開始の翌日または翌々日から連日の卵巣刺激の注射(hMG製剤、FSH製剤)が開始します。数日間の注射の後に、ホルモン採血・超音波検査により卵巣の状態を観察します。卵胞成熟のため、採卵の36時間前に最終刺激としてhCG注射を行います。
アンタゴニスト法
月経開始2~3日目までに来院いただき、ホルモン採血・超音波検査を行い、卵巣刺激の連日注射(hMG製剤、FSH製剤)を開始します(卵巣の反応性によっても異なりますが、通常7~12日間)。前周期に経口避妊薬(ピル)を使用する場合もあります。数日間の注射の後、ホルモン採血・超音波検査により卵巣の状態を観察し、最大の卵胞の大きさが直径14mmに到達する時点から血中ホルモン値を参考にして、排卵抑制のためのGnRHアンタゴニスト製剤を卵巣刺激の注射と併用します。hCG製剤もしくはGnRHアゴニスト点鼻薬の使用、またはhCG製剤とGnRHアゴニスト点鼻薬の併用を行い最終刺激とします。
PPOS法
月経開始2~3日目までに来院いただき、ホルモン採血・超音波検査を行い、卵巣刺激の連日注射(hMG製剤、FSH製剤、卵巣の反応性によっても異なりますが通常7~11日間)および黄体ホルモン製剤の内服を開始します(1日2回、朝夕食後)。前周期に経口避妊薬(ピル)を使用する場合もあります。数日間の注射の後、ホルモン採血・超音波検査により卵巣の状態を観察します。最終刺激としてhCG製剤もしくはGnRHアゴニスト点鼻薬の使用、またはhCG製剤とGnRHアゴニスト点鼻薬の併用を行います。
クロミフェン法
月経開始3日目までに来院いただき、ホルモン採血・超音波検査を行います。月経開始3日目からクロミフェン内服(1日1錠夕食後)を開始します。クロミフェンの内服は採卵3日前まで継続します。生理7~8日日以降は卵胞発育の程度によりhMG製剤、FSH製剤を隔日あるいは連日注射します。最終刺激としてGnRHアゴニスト点鼻薬を行います(左右両方の鼻腔に1回ずつ噴霧)。
レトロゾール法
月経開始2日目までに来院いただき、ホルモン採血・超音波検査を行います。月経開始2日目からレトロゾール内服(1日1錠食後、場合により1日2錠)を開始します。レトロゾールの内服期間は3日間または5日間となります。
- 内服終了後から卵胞発育の程度によりhMG製剤、FSH製剤を隔日あるいは連日注射し、場合により卵胞発育の途中からGnRHアンタゴニスト製剤を使用する方法
- 内服中(あるいは内服開始当日)からhMG製剤、FSH製剤を連日注射し、場合により卵胞発育の途中からGnRHアンタゴニスト製剤を使用する方法
があります。最終刺激としてGnRHアゴニスト点鼻薬を行います(左右両方の鼻腔に1回ずつ噴霧)。
自然周期法
ほとんど卵巣に対する刺激をせず、月経開始8日目くらいからホルモン採血・超音波検査により卵胞発育観察を注意深く行っていきます。最終刺激としてGnRHアゴニスト点鼻薬を採卵の36時間前と35時間前に行います(左右両方の鼻腔に1回ずつ噴霧)。この方法は卵巣予備能が極端に低下した方に行っています。採卵キャンセルや採卵時排卵済みとなる可能性が高いことが難点ですが、卵巣に対する負荷が小さいため、不成功であった場合、次周期以降も引き続き行うことが可能な場合が多いです。
採卵(超音波ガイド下卵胞穿刺術)
超音波検査装置(エコー)でモニターしながら腟内から採卵用の針を進めることにより、卵胞を穿刺し、卵胞内溶液を吸引、卵子を回収することができます。当院では基本的に局所麻酔下にて採卵を行いますが、希望により全身麻酔(プロポフォール点滴)を行っております。採卵後約1~2時間の安静後、診察と血圧測定を行いご帰宅となります。